黄綬褒章受章の着付け師が手がける一軒
酒井カヨコという名前は、着付けの世界では広く知られている。厚生労働省認定の一級着付け技能士であり、2016年には黄綬褒章を受章。それ以前にも東京都の東京マイスター、厚生労働省の卓越技能者表彰(現代の名工)と、公的な評価が続いてきた。1998年の第25回全日本技術選手権大会・花嫁化粧着付け競技で日本大賞を獲得しており、白無垢の着付けに関する技量は全国レベルで実証されている。
個人的には、独自に開発した道具や技術によって着崩れを長時間抑えるという点が印象的だった。振袖や留袖、訪問着、袴など着物の種類を問わず、身体のラインに沿った美しい仕上がりを追求している。式典やイベントで一日中着物を着ていても苦しくなりにくいという声が利用者から目立つ。タカラ美容専門学校の教頭職や日本着付学術会の芸術委員・名人としても活動しており、指導者としての顔も持つ。
大正創業から続く三代の美容室
門前仲町駅から徒歩約8分、永代橋そばに店を構えるさかい美容室は、大正時代に祖母が開業した歴史を持つ。三代にわたって地域の女性たちの身支度を担い、日常のヘアケアから特別な日の装いまで対応してきた。カットやパーマ、ブローといった基本メニューに加え、髪と地肌への負担を抑えた天然成分ヘナによるカラーリングも取り扱う。年齢を重ねた髪質への配慮が、長く通い続ける理由になっているという利用者も多い。
完全予約制のため、施術中はほかの客と時間が重ならず、落ち着いた空間で過ごせる。普段の手入れのしやすさまで考えたヘアスタイルの設計が基本方針で、仕上がりだけでなく翌日以降のことまで相談できるのが通常の美容室との違いだろう。常連の中心は落ち着いた年代の女性層で、中には親子二世代で通うケースもある。永代通り沿いの立地は初めての来店でも迷いにくい。
地髪で結い上げる日本髪と多彩なヘアセット
さかい美容室が得意とする施術のひとつに、地髪を使った日本髪の結い上げがある。伝統技法を踏襲しつつ、現代的な感覚のアレンジも取り入れることで、成人式の振袖に映える華やかなスタイルから、お茶会や観劇にふさわしい控えめな装いまで幅広く対応する。全日本美容講師会ヘア部門の創作委員や東京美容家集団の最高指導委員・常任運営委員としての活動歴が、提案の引き出しの多さにつながっている。
2000年には日本理容美容教育センターの教科書編纂委員も担当しており、技術体系を言語化できる立場にある人物が施術するという安心感は大きい。結婚式の列席者として訪問着に合わせたヘアセットを依頼したところ、崩れにくさと品の良さを両立してもらえたという声が寄せられている。全日本美容講師会では着付け部門の最高師範も兼任しており、着物とヘアの両方を一人の施術者に任せられる。
着付け当日までの流れと予約の仕組み
着付けを依頼する場合、約一週間前までに着装品一式を店舗へ持ち込む段取りになっている。足袋・肌着・裾よけ・長襦袢・紐5本・伊達じめ2本・帯揚・帯締め・草履・タオル3〜4本・帯・着物をリストで事前確認でき、不足する小物は貸し出し対応が可能な場合もある。式の開始時間が早朝にあたるケースでは、営業時間前から支度を始められる。髪の長さや着物の種類によって料金が変わるため、電話での事前相談が推奨されている。
七五三で利用した家族からは、子どもが長時間着崩れせずに過ごせたと感謝の声が届いているという。成人式や卒業式、結婚式など人生の節目に合わせた予約が集中する時期もあるため、早めの連絡が望ましい。問い合わせの受付時間は9時から20時まで。予約は電話のみの対応で、完全予約制を維持している。


